1歳になったら受けたい3つの予防接種|はしかから守るMRワクチンを最優先に

1歳の誕生日を迎えたお子さんへ、これから始まる大切な予防接種のお話

1歳のお誕生日、おめでとうございます。
この節目の時期は、赤ちゃんの予防接種が再び始まるタイミングでもあります。

1歳になると、次の3つのワクチンを新たに受けることができます:

  • ① MRワクチン(麻しん・風しん)【定期接種・無料】
  • ② 水ぼうそうワクチン(水痘)【定期接種・無料】
  • ③ おたふくかぜワクチン【任意接種・自費】

この中でもMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)は、最も優先して接種すべき重要なワクチンです。

※現在、おたふくかぜワクチンの流通が不安定なため、予約を一時休止しています。
まずはMRワクチン(麻しん・風しん)を優先して接種してください。

 

はしか(麻しん)とは?

麻しん(はしか)は、空気感染する非常に感染力の強いウイルス感染症です。
インフルエンザやRSウイルスよりも重症化しやすく、肺炎・脳炎などの合併症を起こすこともあり、入院が必要になることもあります。治療薬はなく、ワクチンで予防することが唯一の手段です。

一時は日本でもほぼ排除されていましたが、最近は海外から持ち込まれた麻しんの流行が全国で再び起こっています。
特に東南アジアなどでは今も麻しんが多発しており、旅行や仕事などでウイルスが国内に入るリスクが高まっています。

 

なお、2000年ごろには日本でも大きな麻しんの流行がありましたが、その後、ワクチン制度が見直され、接種率の向上によって麻しんは「排除状態」まで達成されました。
その経緯については、以下のページで詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。


▶︎ 麻疹(はしか)はなぜ減ったのか?〜ワクチンが守ってきた子どもたち〜

 

なぜ1歳でMRワクチンが必要なの?

赤ちゃんは生まれたとき、お母さんからの免疫(移行抗体)をもらっていますが、
その免疫は生後12か月ごろにはほとんどなくなり、感染しやすい状態になります。

麻しんウイルスは、発熱する前から他人にうつす力があるため、知らないうちに感染が広がることもあります。
免疫のない人は、同じ空間にいるだけでほぼ確実に感染してしまうほど、強い感染力を持っています。

そのため、1歳になったらすぐにMRワクチンを接種することが重要なのです。

 

ワクチンの効果と副反応について

MRワクチンは非常に効果が高く、1回の接種で95%以上の方に免疫がつくとされています。
ただし、免疫は年数が経つと弱まるため、小学校入学前(5~6歳)に2回目の接種(第2期)が必要です。

副反応としては、接種後5~10日後に一時的な発熱や発疹が出ることがありますが、
これらは軽症で、周囲にうつることはありませんのでご安心ください。

 

他のワクチン(水ぼうそう・おたふくかぜ)について

1歳になると、水ぼうそうワクチン(定期)とおたふくかぜワクチン(任意)も接種可能になります。
同時接種も可能で、まとめて受けることで効率よく免疫をつけることができます。

ただし、ワクチンの供給状況によっては順番に接種する場合もあります。
その場合は、麻しんの流行状況や感染力の強さをふまえて、まずはMRワクチンを優先してください。

※なお、生ワクチン(MR、水痘、おたふくかぜ)は同時接種しない場合、最低4週間の間隔をあける必要があります。

 

おたふくかぜワクチンの費用について(江戸川区にお住まいの方へ)

江戸川区にお住まいの方は、おたふくかぜワクチンの接種に3,000円の助成が受けられます。
区から郵送される「おたふくかぜワクチン用の問診票」をご持参いただければ、
当院では自己負担1,000円で接種が可能です。

※現在、おたふくかぜワクチンの流通が不安定なため、予約を一時休止しています。
まずはMRワクチン(麻しん・風しん)を優先して接種してください。

 

まとめ

1歳になったら、MR、水ぼうそう、おたふくかぜの3つのワクチンを早めに接種しましょう。
中でもMRワクチンは、命に関わる重い感染症「はしか」から守るために最優先で受けていただきたい予防接種です。

1歳のお誕生日を迎えたら、ぜひお早めにご予約ください。

夏に増える子どもの病気と家庭でできるケア

夏に気をつけたい感染症や皮膚トラブル、熱中症など

夏が近づき、気温や湿度が高くなるにつれて、子どもたちの体調に影響を及ぼす季節性の病気が増えてきます。

 

高熱を伴う感染症が多く、熱性けいれんの発症リスクも上がる時期です

 

特に アデノウイルス感染症手足口病ヘルパンギーナ は夏風邪の代表格とされており、注意が必要です。

 

また、気温の上昇とともに 熱中症 のリスクが高まり
あせもとびひなど皮膚のトラブルも多く見られるようになります。

 

さらに、保護者の方からは 日焼け止めの使い方虫よけの選び方 についてのご相談も増えています。

 

気になる症状がありましたら、下のリンクから各ページをご覧いただけます。ご家庭でのケアや受診の判断にぜひお役立てください。


▼ 夏に関連する病気・ケアのご案内

生後2か月の赤ちゃんへ|初めてのワクチン(4種同時接種)のご案内

【生後2か月】はじめてのワクチンは何をいつ打つ?副反応と予約方法を解説

赤ちゃんの予防接種、「はじめてのワクチン」が生後2か月から始まります。
この時期には「肺炎球菌」「5種混合」「B型肝炎」「ロタウイルス」の4種類のワクチンがあり、同時接種も可能です
初めての予防接種に不安を感じる方も多いですが、同時に接種しても安全性は確認されています。
大切な免疫をつけるために、適切なタイミングでの接種をおすすめします

 

「はじめてのワクチンが遅くなった」「次のワクチンまで4週間以上空いてしまった」「ワクチンした夜に熱が出ました」といった保護者の方からよくいただくご質問については、▶︎こちらでご案内しています。

◆ 生後2か月で受ける予防接種

以下の4つのワクチンをできるだけ早くスタートしましょう:

  • 肺炎球菌ワクチン
  • 5種混合ワクチン
  • B型肝炎ワクチン
  • ロタウイルスワクチン(ロタリックス)

※ロタウイルスワクチンは月齢があがると副反応(腸重積)のリスクが高まるため、原則として生後14週6日までに1回目を接種してください

 

※ロタウイルスワクチンは当院ではロタリックスを使用しています。2回目から当院で接種希望され初回他院にて「ロタテック」を接種している場合、お電話にて予約ください(03-6231-8388

【当院の取り組み】

  • ◆ 感染症のない方(予防接種など)の広い一般待合室と完全分離した専用待合室を完備しています
  • ◆ 一般待合ではプレイルーム利用可能でお子さんは楽しく過ごせます
  • ◆ 月~土の13:40〜15:00は予防接種(健診)専用時間にしています

感染症のない方(予防接種など)の専用待合室です

予防接種専用待合室の写真

一般待合室のプレイルームエリアです

一般待合は専用時間になら安心して利用できます

ご予約について

予防接種のご予約は、以下の方法でお取りいただけます:


「予防接種(乳幼児健診)予約ページ」
をクリックしてリンク先からご予約いただけます。

 

 

  • またはスマートフォンに アイチケットアプリ を下のリンクよりインストールし、「エムズこどもクリニック瑞江」 を検索・選択して予約

 

◆ ワクチンの副反応について

よくある副反応:

  • ・発熱(接種当日〜翌日に38〜38.5℃の熱が出ることがあります)
  • ・注射部位の腫れ(直径3cmほど、2〜3日で改善)

こんな時は夜間でも受診を:
顔色が悪い/泣き声が弱い/頻回の嘔吐 など

発熱時の対応については、下記のページをご参考ください。

▶︎ ワクチン接種後の赤ちゃんの発熱対応について

◆ ロタウイルスワクチン後の注意事項

ロタウイルスワクチンを接種したあと、ごくまれに「腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)」という腸の病気が起こることがあります。とくに 接種後7日以内 に起こることが多いため、次のような症状がないか赤ちゃんの様子をよく観察してください。

  • 何度も激しく嘔吐する
  • 泣き声がいつもより弱い
  • 顔色が悪い
  • いちごジャムのような赤い便(血便)が出る

このような症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診してください。


【腸重積のリスクについて】

腸重積はロタウイルスワクチンの副反応としてごくまれに心配されることがありますが、ワクチンを接種しない場合のほうが腸重積を起こすリスクは高い ことが分かっています。

  • ⚫︎ ワクチン導入前の日本では、1歳までに 500人に1人 が自然に腸重積を発症していました
  • ⚫︎ ワクチンによる腸重積のリスクは 約10万人に1人 と、非常にまれです

このことからも、ロタウイルスに感染することによるリスクの方がずっと高く、予防接種は赤ちゃんの健康を守るための大切な手段であると考えられています。

◆ 同時接種について

当院では、赤ちゃんの免疫獲得を早めるために、複数のワクチンを同時に接種することを推奨しています。

同時接種にご不安がある方は、お気軽に医師・看護師へご相談ください。少ない数でのワクチン接種相談も可能です

◎ ご来院時のお願い

  • -母子手帳・問診票を必ずご持参ください
  • -問診票は体温を除いて自宅でご記入ください
  • -出生時の体重記入欄があります。記載忘れやすいですが記入をお願いします
  • -体温は自宅で測っていてもワクチンの場合、来院時に必ず測定します(体温欄は空白でお越しください)

◆ 以下によくある質問をまとめました

● はじめてのワクチンが生後2か月を大きく過ぎてしまいました。ワクチンはもう遅いですか?

ご安心ください。ワクチンは「生後2か月からの開始が望ましい」とされていますが、生後3ヶ月でも4ヶ月でも接種を開始することが大切です。

赤ちゃんのワクチン(5種混合、肺炎球菌、B型肝炎)は、遅れても規定回数接種することが重要です。
気づいた時点や体調が整ったタイミングで、できるだけ早めに接種を進めていくことをおすすめします

赤ちゃんの体調不良が続いている場合でも、必ずしもワクチンをすべて延期しなければならないわけではありません
主治医と相談のうえ、接種できるワクチンを無理なく進めることが大切です。

ご不安なことがあれば、受付・看護師・医師へお気軽にお声がけください
お子さまにとって無理のないスケジュールをご一緒に考えます。

ただし、ロタウイルスワクチンの初回接種は生後14週6日までという上限がありますので、初回がまだの場合は早めにご相談ください。

 

● 次のワクチンまで4週間より大きく間が空いてしまいました。効果はありますか?

はい、効果はしっかりあります。予定より接種間隔が空いてしまっても、初回の免疫は体に残っており、次の接種でしっかり効果が高まります
やり直す必要はなく、最後まで決められた回数を完了することが最も重要です。

ただし、一部のワクチンには接種期限があるものもあります。

  • ロタリックス(2回接種):24週0日までに完了
  • ロタテック(3回接種):32週0日までに完了
  • B型肝炎・BCG:1歳の誕生日の前日までが無料接種の期限

スケジュールに不安がある場合は、母子手帳と問診票をご持参のうえ、クリニック窓口でお気軽にご相談ください

 

● ワクチンを受けた夜に熱が出ました。どうしたらよいですか?

生後3か月未満のお子さんでは、原則として解熱剤の使用は行いません
まずは衣類を1枚減らす・室温を調整するなどで様子を見てください。

ワクチンによる発熱であれば、たいてい翌日には自然に解熱します
ただし、3か月未満の赤ちゃんの発熱は、ワクチンに関係なく注意が必要です。

詳しくは以下のページをご参照ください。


▶︎ ワクチン接種後の赤ちゃんの発熱対応について


【スギ舌下免疫療法初回】完全予約制/5月26日予約開始・6月2日開始予定

【ご案内】シダキュア(スギ花粉症)舌下免疫療法 初回について

シダキュア初回分の薬剤が流通不足のため、初回治療は完全予約制で実施します

 

ご希望の方は、スギ舌下免疫初回治療専用の予約枠にてご予約をお願いいたします

※予約の変更をご希望の場合は、お電話にてご連絡ください

 

下の青色の「スギ舌下初回予約はこちら」ボタンからWEBで予約するか、アイチケットアプリの「初回スギ舌下免疫」からご予約ください。

 

◆ ご予約について

  • 予約開始日時:5月26日(月)20時〜
  • 治療開始日:6月2日(月)〜
  • 初回舌下免疫療法可能分の午後枠を開放いたします。
  • 予約当日午前にご来院いただいても治療開始可能です。
  • 今回予約できなかった場合も、毎年8月頃に少量入荷することがあり、
    予約を再開する可能性があります。

 

◆ ご予約可能日・受付時間

実施日:月曜〜土曜(※日曜・祝日は実施していません)

  • 午前:〜11:00まで
  • 午後(平日):〜17:00まで
  • 午後(土曜):〜16:00まで

※上記時間を過ぎると受付できませんので、ご了承ください。

 

◆ 治療を受けられる方の条件

  • 血液検査でスギ花粉症と確定診断されている方
  • 1分間、薬を舌の下に置いておける方(舌下吸収が必要な治療です)
  • 原則として小学生以上の方から高校生までが対象です
  • 3年間定期的に受診して治療継続できる方

 

◆ 他院で検査を受けた方へ

  • 他院でスギ花粉症と診断された方もご予約可能です
  • 検査結果が分かる書類を必ずご持参ください
  • 当日の治療開始には医師の判断が必要です

 

◆ 初回治療の所要時間

受付からご帰宅まで、約1時間〜1時間30分程度かかります。
時間に余裕をもってご来院ください。

 

◆ その他の治療について

  • ダニの舌下免疫療法(初回)
  • シダキュアの継続処方

→ 上記は現在も実施中です。通常の診察で対応可能(日祝日不可)です。

ご不明点がありましたら、受付までお気軽にお問い合わせください。

【3種混合ワクチン】予約休止中/百日せき予防の大切さを再確認ください

【百日咳のご案内とワクチンの大切さ】

3種混合ワクチンに含まれる百日咳に対する効果は、年長児や成人の百日せき感染を防ぐだけでなく、重症化リスクの高い乳児への感染拡大を防ぐ目的でも重要です。

【注意】現在ワクチン在庫なく予約休止中です

当院では、妊娠中の方への接種についてもご案内しています。
予防接種の意義について、今一度ご確認ください。

 

百日咳は、長く続く強い咳が特徴の感染症です。熱はあまり出ず、「風邪かな?」と思われがちですが、咳だけが何週間も続くことがあります。

とくに小さなお子さんでは、咳の発作で息が止まる、顔色が青くなる、吐いてしまうなど、重症化することもあります。

この病気は、咳が出はじめた初期にもっとも感染力が強く、治療薬もこの時期にしか効果がありません

また、百日咳の診断は簡単ではありません。抗原検査はすぐに結果が出ますが正確性に乏しく、より信頼できるPCR検査も結果に数日かかります。しかも、PCR検査の精度が高いのは咳が出始めて1週間以内に限られ、風邪との見分けも難しいのが実情です。

【だからこそ、予防接種が大切です】

百日咳は、早期に診断が難しく、もっとも感染力が強いのもその初期です。
そのため、自分を守るだけでなく、ワクチンをまだうてない赤ちゃんを守るためにも、予防接種がもっとも効果的です。

百日咳 年齢別報告(2022年データ)

百日咳は全年齢でかかる可能性がありますが、特に小中学生の年代(5~14歳)での報告数が多く、また、
乳児期(1歳未満)では重症化のリスクが高いことがわかっています。

年齢区分 百日咳報告数
0〜5か月 10人
6〜11か月 15人
1〜4歳 35人
5〜9歳 150人
10〜14歳 200人
15〜19歳 50人
20歳以上 100人

出典:国立感染症研究所「百日咳 全数報告サーベイランス(2022年)」


3種混合ワクチン(DPTワクチン)について

現在、3種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)の接種予約を受け付けています。
特に百日咳に対しては、ワクチン接種がもっとも効果的な予防手段です。

◆ ご予約方法

【注意】現在ワクチン在庫なく予約休止中です

電話予約のみとなります。
ご希望の方は、下記時間内にお電話ください。

  • 電話番号:03-6231-8388
  • 受付時間:平日・土曜日 10:00〜12:00/14:00〜17:15

接種費用:自費 5,000円(税込)

◆ 接種対象

  • 5〜6歳の年長さん以降のお子さまにおすすめです
  • すでに4種混合(または5種混合)を接種済みの場合、しばらくは追加接種の必要はありません
    (※4回目接種から約4年後が目安です)

◆ 百日咳の流行とワクチンの効果

  • 現在、百日咳が流行していますが、2〜3回の接種で発症リスクが大幅に低下します
  • 4種混合ワクチンの追加接種まで完了していれば、4〜7年ほど効果が持続します

◆ 特に接種をおすすめしたいケース

  • 年長以上のお子さまがいるご家庭で、新生児がいる場合
  • 今後ご出産予定がある場合
    → 家庭内での感染予防のため、3種混合ワクチンの追加接種をおすすめします

ポリオワクチン(不活化)との同時接種も可能ですが、現在日本では流行がないため積極的な推奨はしていません。
4種混合ワクチンの「追加接種」は制度上できませんのでご注意ください。


【百日咳ワクチン接種をご希望の方へ】

当院では、ジフテリア・百日咳・破傷風を予防する三種混合ワクチン「トリビック®」を使用しております。

日本では現在、小学生以上の年齢で百日咳を予防できるワクチンは本剤のみ承認・流通しています。そのため、当院でもこちらのワクチンを使用し、百日咳に対する追加免疫を行っています。

【なぜこのワクチンを使用するのか】

本来、年齢が高くなると抗原量を少なく調整した成人・思春期向けのワクチン(Tdap:例 アダセル®)が適していますが、日本では未承認のため一般の医療機関では使用できません。

一部のクリニックではアダセル®を独自に輸入して使用している場合もありますが、未承認ワクチンを接種した際に副反応が起きても、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の救済制度の対象外となります。

そのため当院では、承認済で公的救済制度の対象となる「トリビック®」を採用しています。

【副反応について(11歳以上の方)】

このワクチンは、抗原量(特にジフテリア・百日咳毒素)が多く含まれているため、以下のような副反応が報告されています。

  • 注射部位の反応(比較的よく見られます)
    • 赤み(74.9%)
    • 腫れ(72.6%)
    • かゆみ(59.2%)
    • 痛み(56.1%)
    • 熱感(51.6%)
    • 硬くなる(45.0%)
  • 全身症状
    • 発熱、頭痛(5%以上)
    • 倦怠感、わきの下の痛み(1〜5%未満)

これらは一時的な反応ですが、まれに強く出ることもありますので、ご理解のうえで接種をお願いいたします。

 

◆ 妊娠中におけるトリビック®接種について

百日咳は、生後すぐの赤ちゃんがかかると重症化しやすい感染症です。日本では成人向けのTdapワクチン(アダセル®など)が未承認のため、当院では妊娠中の追加免疫として、厚生労働省により承認されている「トリビック®(DPTワクチン)」を使用しています

トリビック®添付文書にも「妊婦または妊娠の可能性がある女性には、有益性が危険性を上回ると判断される場合に接種する」と記載されており、妊娠中でも接種は可能です。

【接種が推奨される妊娠週数とその理論的背景】

妊娠中のワクチン接種は、時期を適切に選ぶことで赤ちゃんにより多くの抗体を届けることができます。

  • 推奨週数:妊娠28週〜32週ごろ

この時期に接種が勧められる理由として、次のような科学的根拠があります。

  • 胎盤を通じた抗体移行が妊娠後期(28週以降)に最も活発になる。
  • 接種後に抗体価が上昇するまで約2〜4週間を要するため、出産の2〜3週間前までに免疫が完成していることが望ましい。

出典:厚労科研「妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の抗体応答と児への移行抗体に関する研究(分担69)」2023年

【有効性】

  • 妊娠28~32週ごろの接種により、母体の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。
  • 厚生労働科学研究(令和5年度)では、接種4週後に抗PT抗体が7.3倍、抗FHA抗体が12倍に上昇
  • 分娩時の臍帯血では98〜100%の新生児で抗体保有が確認され、乳児期の百日咳予防に寄与します。

出典:厚労科研「妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の抗体応答と児への移行抗体に関する研究(分担69)」2023年

【安全性】

  • 妊婦470人を対象とした研究では、妊娠合併症・早産・胎児異常・先天奇形などに有意差なし
  • 副反応としては、注射部位の腫れ・痛み(約60%)や軽度の全身症状(約25%)が見られましたが、いずれも一過性で自然に改善しています。
  • 海外でのTdapワクチンのデータとも整合しており、安全性に大きな問題は確認されていません

出典:厚労科研「妊婦へのDPTワクチン接種に関する後ろ向きコホート研究(分担70)」2023年

妊娠中の方で接種をご希望の方は、妊娠週数をスタッフまでお知らせください