アデノウイルス感染症について(咽頭炎、咽頭結膜熱、胃腸炎)
アデノウイルス感染症について
アデノウイルスは、子どもによくみられるウイルスのひとつで、感染する部位やウイルスの型(血清型)によって異なる症状を引き起こします。とくに小児では、「咽頭炎型」「咽頭結膜熱」「胃腸炎型」が代表的です。
咽頭炎型(アデノウイルス咽頭炎)
- 急な高熱(39℃を超えることもあります)
- のどの痛み
- 食欲不振や咳など
目の症状(充血・目やに)を伴わず、のどの炎症と発熱が中心の病型です。特効薬はなく、解熱剤や水分補給などの対症療法で回復を待ちます。
感染力:
主にアデノウイルス1型・2型・5型などが原因とされます。咽頭結膜熱の原因型より感染力はやや弱いとされますが、飛沫や接触を通じて乳幼児間での感染は十分に起こり得ます。
出席停止:
学校保健安全法の出席停止対象疾患には該当しませんが、症状が改善するまでは自宅で安静に過ごすことが推奨されます。
咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)
- 39℃を超える高熱(4〜5日続くことも)
- のどの痛み
- 目の充血、目やに、まぶたの腫れ
咽頭炎に加えて結膜炎がみられる病型で、アデノウイルス3型・4型・7型が原因とされます。
感染力:
非常に強く、手指・タオル・飛沫などを介して感染が広がります。
● 厚生労働省 感染症発生動向調査(IASR)
→ アデノウイルス3型、7型は特に集団感染例が多く、感染経路が多彩と報告されています。
● “Adenovirus infections in children: a review”(Pediatric Infectious Disease Journal, 2006)
→ 各型の臨床症状と感染力の違いが詳述され、3型と7型の高い伝播性が指摘されています。
出席停止:
学校保健安全法により、主要症状が消退した後2日間は出席停止となります(文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」)。
当院では登園・登校の際の登園許可証は解熱後48時間以降から記載しています。
胃腸炎型(アデノウイルス胃腸炎)
- 水のような下痢
- 嘔吐(発熱に先行または同時)
- 軽度〜中等度の発熱
- 脱水症状のリスク
アデノウイルス40型・41型が主な原因で、ロタウイルスやノロウイルスに似た症状を示しますが、下痢が比較的長引く傾向があります。
感染力:
非常に強く、主に便を介した糞口感染によって広がります。
● 厚生労働省 IASR Vol. 38, No. 1, 2017
→ アデノウイルス40・41型は、乳幼児のウイルス性下痢症の主要原因とされています。
出席停止:
学校保健安全法の出席停止対象疾患には該当しませんが、下痢や嘔吐がある間は登園・登校を控え、症状消失後も24〜48時間は自宅で様子を見ることが望まれます。
治療について
アデノウイルスに対する特効薬(抗ウイルス薬)はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。
- 発熱: 解熱剤(アセトアミノフェンなど)を使用し、水分補給をこまめに行います。
- 咳・のどの痛み: 鎮咳薬や抗炎症薬が処方されることがあります。
- 結膜炎: 症状に応じて点眼薬(抗菌・抗炎症)が処方されることがあります。
- 下痢・嘔吐: 脱水を防ぐため、経口補水液(OS-1など)での水分補給が大切です。
いずれも自然にウイルスが排除されるのを待ちながら、無理せず安静に過ごすことが大切です。
当院についてのご案内
M’s(エムズ)こどもクリニック瑞江は、東京都江戸川区にある年中無休の小児科です。
赤ちゃんから高校生まで、高熱、目の充血、長引く発熱に関する診察も対応しています。
診察時間やアクセスの詳細は、当院ホームページをご確認ください。