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BCGワクチン(結核重症化予防ワクチン)について、コッホ現象についても説明します

BCGワクチンのすすめ
― お子さまを結核から守るために ―

 

日本は今も結核の患者が多い国です

結核は「過去の病気」と思われがちですが、日本では現在も年間およそ1万人の新規患者が報告されています。特に65歳以上の高齢者に多く、2023年には新規患者9,709人のうち、実に66.8%が65歳以上でした。

出典:結核研究所 感染症発生動向調査(2023年)

 

小児の結核は減ってきていますが、ゼロではありません

日本における15歳未満の小児結核患者数は、2021年に29人と報告されていますが、依然として毎年数十例の発生があります。しかもその多くは、家庭内での感染が原因です。

感染源が特定された小児患者のうち、約7割が「親または祖父母」からの感染と報告されています。

出典:結核研究所『TB in Japan 2022』

 

BCGワクチンは重い結核を防ぎます

BCGワクチンは、すべての結核を防ぐわけではありませんが、結核性髄膜炎や粟粒結核など、重症型の結核に対して高い予防効果があることが知られています。

世界保健機関(WHO)も、結核まん延国における乳児への接種を推奨しています。

出典:WHO BCG Vaccine Position Paper – 2018年

 

アメリカではなぜ接種していないの?

アメリカでは、2023年の新規結核患者数は9,633人、人口10万人あたり2.9人と、日本より大幅に少ない状況です。このためBCG接種は原則行われておらず、高リスクの一部の人に限られます。

出典:CDC Tuberculosis Surveillance Report 2023

 

日本ではBCG接種がすすめられています

結核の発生が比較的多く、家庭内感染のリスクがある日本では、BCGワクチンは定期予防接種として推奨されています。

生後1歳未満での接種により、重い結核からお子さまを守ることができます。


接種後の反応について
― 「コッホ現象」とは何かをご存じですか? ―

 

通常のBCG接種後の経過

  • 接種後10日ごろから針痕に赤みが出始めます。
  • 1か月前後をピークに赤く腫れ、小さく膿むこともあります。
  • 3〜4か月かけてかさぶたになり、自然に治っていきます。

これは正常な反応であり、特別な処置は通常必要ありません。

 

「コッホ現象」とは?

まれに、接種から3日〜1週間以内に急な赤みや強い腫れ、膿を伴う炎症が見られることがあります。これは「コッホ現象」と呼ばれ、すでに結核に感染していた場合に起こる強い免疫反応です。

出典:日本ビーシージー製造株式会社『BCG接種に関する実際 Q&A』

 

精密検査が必要な場合

この反応が見られた場合、ツベルクリン反応(ツ反)や胸部レントゲン検査などによる精密検査が必要です。

 

なぜ14日以内の検査が必要なの?

BCG接種後14日を超えると、ワクチンの影響でツ反が陽性になりやすくなり、正確な判定が難しくなります。そのため、14日以内の検査が推奨されています。

出典:日本ビーシージー製造株式会社『BCG接種に関する実際 Q&A』

 

検査の流れ(東京都の場合)

  • 小児結核の精密検査は限られた専門医療機関で行われます。
  • まずはBCG接種を行ったクリニックへご相談ください。
  • 専門機関の受診には紹介状が必要です。

多くの場合、コッホ現象は偽陽性であり、緊急性はありません。落ち着いてご相談ください。

 

ご家庭での観察のすすめ

接種後の経過を記録するために、スマートフォンなどで接種部位の写真を定期的に撮影しておくことをおすすめします。診察時の判断にも役立ちます。


おわりに

BCGワクチンは、重い結核からお子さまを守るための大切な予防接種です。まれにコッホ現象のような反応が起こることもありますが、これは早期の感染を発見するサインとなることがあります。

接種後に気になる変化があった場合は、あわてずに接種を受けたクリニックにご相談ください。