「夜に咳が出るお子さんへ」こんな時どうする?受診の目安と家庭でできる対処法
夜になると咳が出てくる…そんなときに知っておきたいこと
お子さんの咳が、昼間は落ち着いているのに、寝始めるころや夜中、明け方になると出てくることがあります。こうした咳は多くのお子さんに見られ、必ずしも重い病気とは限りません。
夜中に咳き込む姿を見ると、どうしても心配になってしまいます。落ち着いて対応するために、いくつかのポイントを知っておきましょう。
1. 咳が風邪によるものか、喘息・気管支炎によるものか
風邪による咳:
咳き込んで顔が真っ赤になるような激しい咳でも、その後はケロッとしていることが多く、咳で目が覚めても再び眠れるようであれば、翌日の受診で問題ありません。
喘息や気管支炎による咳:
咳がコンコンと長く続き、ゼーゼー・ヒューヒューという音が聞こえるときは注意が必要です。肩やお腹を使って苦しそうに呼吸していたり、顔色が悪いようなときは、できるだけ早めに受診してください。
2. 生後3か月までの赤ちゃんの咳は、注意が必要です
生まれて間もない赤ちゃん、特に生後3か月ごろまでは、気管支が細く、咳をする力も弱いため、痰をうまく外に出せず、呼吸が苦しくなってしまうことがあります。
この時期のお子さんでは、咳の強さよりも哺乳できているかどうかがとても大切です。
※ 特に注意して見てほしいポイント:
- ▶︎飲もうとしても咳き込んでしまう
- ▶︎いつもより明らかに哺乳量が少ない
- ▶︎飲んだあとに胸がベコベコへこむような呼吸をしている
このような様子があれば、迷わず早めに受診しましょう。
また、生後早期の赤ちゃんでは、RSウイルスや百日せきなどにも注意が必要です。
RSウイルスは細気管支炎により呼吸困難、哺乳できないなどの症状が強くあらわれ、百日せきでは無呼吸や顔色が紫のような重い症状が現れることがあります。
RSウイルスについては、
▶︎ RSウイルス感染症とは|いつよくなる?家庭でできるケアと乳児の注意点を解説
にまとめています。
3. なぜ夜に咳が出やすいの?
夜に咳が増えるのには、次のような理由があります。
- ・副交感神経が優位になり、気道が狭くなる
- ・温かい体と冷えた空気の温度差が刺激になる
- ・横になることで、鼻水や痰が喉に流れ込む
4. おうちでできる咳へのケア6つ
- ・加湿する:湿度40〜60%を目安に
- ・室温を快適に:22〜24℃が目安です
- ・ぬるめの飲み物を:冷たい飲み物は避けましょう
- ・背中をトントン:痰が絡むときに効果的です
- ・こまめな掃除:ほこり・ダニを避ける環境づくりを
- ・ハチミツ(1歳以上):寝る前に少量で咳を緩和
※1歳未満のお子さんにはハチミツを与えないでください。
5. クループ(喉頭炎)にも注意しましょう
夜間や明け方に突然、「ケンケン!」と響くような咳が出てくることがあります。これはクループ(喉頭炎)と呼ばれる病気で、声帯のすぐ下が腫れて起こります。
犬が吠えるような、またはアザラシのような鳴き声にも例えられますが、実際には高くこもった、乾いた音の「ケンケン!」という咳が続くのが特徴です。
声がかすれたり、息を吸うときにヒューヒューと音がすることもあり、苦しそうな呼吸が見られることもあります。
このようなときは、病院で専用の吸入薬やステロイド薬で喉の腫れを抑える治療が必要になります。
一度かかったことがあるお子さんは、風邪をきっかけに繰り返すこともあります。
クループ症候群についてさらに詳しく知りたい方は
「ケンケン」と咳が出たら要注意|犬の鳴き声のような咳はクループかもしれません
のページもご参照ください。
最後に
子どもの夜の咳はつらそうに見えて不安になりますが、咳だけでなく呼吸の様子や哺乳の具合、顔色などをよく観察することがとても大切です。
「受診が必要かどうか」や「今夜どう過ごせばいいか」の判断の一助になれば幸いです。
当院についてのご案内
M’s(エムズ)こどもクリニック瑞江は、東京都江戸川区にある年中無休の小児科です。
赤ちゃんから高校生まで、咳に関する診察も対応しています。
診察時間やアクセスの詳細は、当院ホームページをご確認ください。