【風しんの予防は社会全体の守り】子どもと家族を守るために知っておきたいこと
風しんとワクチンの重要性について
■ 風しんとは
風しんは、「三日はしか」とも呼ばれるウイルス感染症です。発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が見られます。子どもでは軽症で済むことが多いですが、急性脳炎、血小板減少性紫斑病などを合併することがあります。また、大人では発熱や関節痛が強く出ることがあります。
特に重要なのは、妊娠初期の女性が風しんに感染すると、胎児に重い障害(先天性風しん症候群:CRS)を引き起こす可能性があるという点です。そのため、風しんは「本人だけの病気」ではなく、社会全体で予防すべき感染症とされています。
■ 風しんの感染力と診断の難しさ
風しんは、発疹が出る1週間前から発疹後4日程度まで、強い感染力を持ちます。このため、症状が出る前から周囲にうつしてしまう可能性があり、家庭・保育園・学校・職場などで知らないうちに感染が広がるリスクがあります。
また、風しんは診断が非常に難しい感染症です。発熱・発疹・リンパ節腫脹といった症状は、子どもでは他のウイルス感染症でもよく見られるため、症状だけで風しんと判断することは困難です。
血液検査(IgM抗体検出)やPCR検査での確定診断が可能ではありますが、検査結果に時間がかかり、またPCR検査は一般の医療機関では広く実施されていないのが現状です。
さらに、風しんには有効な治療薬がなく、治療は対症療法のみとなります。
■ ワクチンの効果と予防の意義
風しんワクチン(MRワクチン)は、1回接種で約95%、2回接種で約99%の人が免疫を獲得できるとされています。MRワクチンは、麻しん(はしか)と風しんの混合ワクチンで、現在、日本の子どもの定期接種にはこの混合ワクチンが使用されています。
日本では、1歳と小学校入学前(5〜6歳)の2回接種が定期接種として接種されています。
ワクチンは、本人の感染予防だけでなく、妊婦や赤ちゃんを守る「社会全体の予防」にもつながります。周囲に免疫のある人が多いことで、風しんウイルスが広がりにくくなる「集団免疫」が成立し、先天性風しん症候群の予防にも効果を発揮します。
■ 過去の流行とワクチンの効果
日本では過去に大きな流行がありました:
- ▶︎ 2013年:14,344人(過去最大)
- ▶︎ 2018年:2,941人(首都圏中心に再流行)
- ▶︎ 2019年:2,298人
この流行を受け、特に免疫を持たない世代への抗体検査とワクチン接種(第5期定期接種)が進められた結果、風しんの報告数は大きく減少しています:
- ▶︎ 2020年:101人
- ▶︎ 2021年:12人
- ▶︎ 2022年:15人
- ▶︎ 2023年:12人
- ▶︎ 2024年:7人(暫定)
- ▶︎ 2025年(5月時点):6人(暫定)
ワクチンの普及が感染拡大を抑えたことは明らかです。
■ まとめ:未来の命を守るために
風しんは、感染力が強く、診断が難しく、治療薬もない感染症です。唯一の確実な予防策がワクチン接種です。
お子さんの定期予防接種を確実に受けることは、本人の健康を守るだけでなく、周囲の妊婦やこれから生まれてくる赤ちゃんたちを守ることにもつながります。
社会全体で予防の意識を高め、風しんを根絶していくために、予防接種へのご協力をお願いします。
土日も予防接種を受け付けています
エムズこどもクリニック瑞江(江戸川区)では、平日午前午後に加えて土日も予防接種を受け付けています。
予約方法や受付時間は、当院ホームページからご確認いただけます。