こどもの便秘について
こどもの便秘について 〜くせにならない正しい対応を〜
こどもの便秘に対して、「薬や浣腸を使うとくせになるのでは?」と不安に感じる保護者の方も少なくありません。しかし、実際には薬や浣腸が便秘の“くせ”になることはありません。むしろ、便秘を我慢したり放置したりすることで、便がより硬くなり、排便がつらくなるという悪循環に陥ることがあります。
定期的に排便することが、便秘の治療において非常に重要です。
薬は根気よく、長く続けることが大切です
便秘の治療では、薬で便を柔らかくして排便の習慣をつけることが基本です。1回便が出たからといって薬をすぐやめてしまうと、再び便秘が悪化することがあります。
治療は数か月以上、根気よく続ける必要があります。とくに酸化マグネシウム(マグネシウム剤)は、長期使用しても安全性が高いとされています。
浣腸の使い方 〜排便のきっかけ作りに〜
2〜3日排便がないときや、子どもが不快そうにしているときには、浣腸で排便を促すことも有効です。排便した状態を維持することが大切です。便秘の習慣化を防ぐためにも、経口薬と併用しながら排便リズムを整えましょう。
食事の工夫で便秘を改善しましょう
毎日の食事内容を見直すことは、便秘の予防と改善にとても効果的です。便の量を増やし、腸の動きを促すには、食物繊維と水分が欠かせません。
- 野菜類:ほうれん草、小松菜、にんじん、キャベツ、ブロッコリー
- 果物類:りんご(皮ごと)、バナナ、キウイ、みかん、干しプルーン
- 海藻類:わかめ、ひじき、昆布(味噌汁や煮物に活用)
- いも類:さつまいも、じゃがいも(皮つきが望ましい)
- 豆類:納豆、おから、ゆで大豆、きなこ
また、のどが渇いていなくても、こまめに水やお茶を飲むよう心がけましょう。寒い季節には温かいスープや味噌汁もおすすめです。
おすすめのおやつ
- りんご、バナナ、干しプルーンなどの果物
- 焼き芋やふかしいも
- ヨーグルト(腸内環境を整える効果があります)
控えたほうがよい食品
- ▲ お菓子・スナック菓子:ポテトチップス、クッキー、チョコレートなどは油分が多く、食物繊維が少ないため、便のかさが減りがちです。
- ▲ 甘い飲み物:ジュース、スポーツドリンク、乳酸菌飲料の過剰摂取は、糖分過多になりやすく、他の栄養素のバランスを崩すことがあります。
- ▲ 脂っこい食事:揚げ物やファストフード、バターを多く使った料理は、腸の動きを鈍らせることがあり、便秘を引き起こしやすくなります。
- ▲ 精製された食品:白パン、うどん、ケーキなどは食物繊維がほとんど含まれていないため、便の材料が不足しがちです。
- 早寝早起き、規則正しい生活リズム
- 1日3食をきちんと取り、だらだら食べを避ける
- 散歩や体操など、軽い運動を日常に取り入れる
以下のような食品や飲み物は、便の量が少なくなったり、腸の動きを鈍らせたりすることがあるため、便秘を悪化させる原因になります。日常的に取りすぎないように気をつけましょう。
生活習慣も大切に
便秘の改善には、生活習慣の見直しも欠かせません。すぐに効果が出るとは限りませんが、心身の健康にもつながります。
トイレトレーニングは無理せず、焦らずに
便秘がある状態で無理にトイレトレーニングを始めると、子どもが排便を我慢するようになり、便秘がさらに悪化することがあります。トイレで失敗して怒られた経験が原因になることも少なくありません。
まずは薬で便をしっかり出せる状態をつくり、排便リズムが整ってからトレーニングを始めましょう。お子さんのペースに合わせた対応が大切です。