長びく下痢の時の食事とケアについて
長びく下痢のときの食事とケアについて
お子さんの下痢が続くと、「食べさせていいのかな?」「もっと休ませた方がいいのかな?」と悩まれる保護者の方は多いと思います。ですが、下痢が長引いているときこそ、適切な食事とケアで、体の回復を助けてあげることが大切です。
● 下痢のときの食事の進め方
<1> 食欲がなく水のような便が何度もでるとき
まずはエネルギーになる炭水化物を中心に、消化しやすいものを選びましょう。
- おかゆややわらかく煮たうどん
- すりおろしたりんごやバナナ(※みかんなど柑橘系は控えましょう)
- お味噌汁の上澄みや野菜のポタージュスープ
- ゼリーやプリンなど口当たりがよいもの
この時期は水分補給も大切ですが、冷たいものは腸を刺激して下痢を悪化させることがあるため、常温〜ぬるめの飲み物を選びましょう。

▲ 食欲がない時におすすめの食べ物
下痢のときでも、年齢に応じた食事を続けたほうが腸の回復を早め、体力を保てるとされています。参考[1][2]
<2> 下痢は続くけれど食欲や元気が出てきたら
元気や食物が改善してきたら、おかゆやうどんだけでなく、少しずつ固形物も取り入れていきましょう。
- 豆腐、卵、鶏のささみなどのやわらかいたんぱく質食品
- やわらかく煮た野菜や果物
食事は1回の量を少なめにして、回数を分けてあげるとお腹の負担が少なくなります。

▲ 下痢が落ち着いてきた時に勧める食べ物
日本小児科学会でも、炭水化物に加えてたんぱく質を適度に取り入れ、段階的に通常食へ戻す方法が推奨されています。[2]
● こんな工夫もおすすめです
- ・お腹を冷やさないよう、腹巻や温かい服装でお腹を温めましょう
- ・赤ちゃんでミルクを飲むとすぐ下痢をする場合は、乳糖不耐が原因の可能性があります
→ 一時的に「ノンラクトミルク(乳糖を含まないミルク)」に変えてみる方法もあります - ・大きなお子さんで牛乳を好んで飲んでいる場合は、下痢が落ち着くまで量を減らす、または「乳糖分解済みの牛乳(例:アカディ)」に変えてみるのも有効です
日本小児栄養消化器肝臓学会では、乳糖不耐のあるお子さんには乳糖除去ミルクや適切な製品への変更を推奨しています。[3]
● 受診の目安
次のような症状が見られるときは、単なる胃腸炎ではなく別の病気の可能性もあります。かかりつけ医に相談してください。
- ▶︎ 下痢が2週間以上続いている
- ▶︎ 血便が出る、または強い腹痛がある
- ▶︎ 発熱が続いている
- ▶︎ 顔色が悪く、ぐったりしている
- ▶︎ 体重が明らかに減ってきた
出典と解説
- [1] World Health Organization (WHO).
The Treatment of Diarrhoea: A manual for physicians and other senior health workers, 2005
→ 下痢中も年齢に応じた食事を続けることで回復を早めると世界的に推奨されています。 - [2] 日本小児科学会監修 『小児の食事療法に関する指針』(2020年)
→ 炭水化物からたんぱく質を追加し、段階的に通常食へ戻す方法が有効とされています。 - [3] 日本小児栄養消化器肝臓学会 「乳糖不耐と乳製品の選択」指針
→ 乳糖不耐に配慮したミルクの選択や工夫が、症状の改善に有効であると述べられています。