急性喉頭炎(クループ)について ~犬の鳴き声のような咳が出るときは~
急性喉頭炎(クループ)について
~犬の鳴き声のような咳が出るときは~
特徴的な咳にご注意ください
ある日突然、「ケンケン」「オットセイの鳴き声のような甲高い咳」が出て、驚かれることがあるかもしれません。これは「急性喉頭炎(通称クループ症候群)」と呼ばれる病気の可能性があります。
この病気は、声を出す部分である「声帯(声門)」のすぐ下の部分が炎症で腫れてしまい、特徴的な咳や声の変化を引き起こします。
主な原因
クループの多くはパラインフルエンザウイルス1型による感染が原因とされています。風邪の一種ですが、炎症が声門の下に起こることで、独特の咳がみられるのが特徴です。
症状
- 犬の鳴き声のような咳(犬吠様咳)
- 声がかすれる(嗄声)
- 咳き込みで嘔吐することがある
- 夜間に咳が悪化し、眠れないことがある
- 咳が続いたあとに発熱することがある
- 息を吸い込むときに「ぜーぜー」と音がする(吸気性喘鳴)
通常、呼吸が止まるような重症例はまれですが、咳が強くなり呼吸が苦しそうに見えることもあります。
治療について
病院では次のような治療が行われます:
- ステロイド薬の内服(炎症をおさえ、気道の腫れを軽くします)
- 咳や呼吸の症状が強い場合には、アドレナリン吸入を行うこともあります(病院でのみ実施)
治療により、通常は1〜2日で犬の鳴き声のような咳は落ち着き、痰が絡んだ咳へと変化していきます。
受診の目安
- ▶︎ 咳が強くて眠れない
- ▶︎ 息苦しそうにしている(肩や胸がへこむような呼吸)
- ▶︎ 食事や水分がとれない
- ▶︎ 嘔吐が続いている
- ▶︎ 声が急に出にくくなっている
似たような咳でも、実際には気管支炎や喘息など別の病気であることもあります。
繰り返すことはありますか?
クループは1歳前後の乳幼児に多く、年に数回繰り返すお子さんもいます。ただし、年齢が上がるにつれて自然とかかりにくくなり、小学生になるころには多くの子が改善します。
登園・登校の目安
- ✔ 熱が1日以上出ていない
- ✔ 夜しっかり眠れている
- ✔ 食欲が7割以上回復している
判断が難しい時は、かかりつけの医師にご相談ください。
出典:日本小児科学会/MSDマニュアル家庭版/Bjornson CL, Johnson DW. Croup. Lancet. 2008