みずぼうそう(水痘)について
みずぼうそう(水痘)について
みずぼうそうは、「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」によって起こる感染症です。
非常に感染力が強く、空気感染・飛沫感染・接触感染のいずれでもうつるため、保育園や学校などで広がりやすい病気です。
潜伏期間は10〜21日(平均約2週間)で、突然の発熱や発疹で気づかれることが多いです。
■ 症状について
発熱とともに、顔やお腹から全身へ広がる紅い発疹や水ぶくれ(水疱)が現れるのが特徴です。
水疱は破れてかさぶたになり、新しい発疹と混在して経過します。
熱は38〜38度近くでることもあります。
ワクチン接種歴がある場合は、「ブレイクスルー感染」として軽症で済むことが多く、発疹の数が少なかったり、水疱にならなかったり、熱が出ないこともあります。
■ 日常のケアについて
- かゆみを防ぐため、爪を短く整えることが大切です。
- 医師から処方されるカチリ(白い塗り薬)は、水疱の乾燥を早めてとびひを予防します。
- 乾燥してかさぶたになったら塗布は不要です。
- 入浴は可能ですが、ぬるめのお湯で短時間にし、石けんでやさしく洗って清潔を保ちましょう。
■ 治療について
みずぼうそうの治療は対症療法が中心です。
- アセトアミノフェンなどで発熱を緩和します。
- かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬や外用薬を使います。
- 重症例やリスクの高い方には、抗ウイルス薬(アシクロビルなど)を早期に使用することがあります。
抗ウイルス薬は、発疹出現から48時間以内の使用が効果的です。
■ 登園・登校について
すべての発疹がかさぶたになるまでは、登園・登校できません(感染症法・学校保健安全法による規定)。
通常は発疹出現から約1週間程度が目安です。
登園許可書をご希望の方は、かさぶたがそろった時点でご受診ください。
※発疹に赤みが残っている状態で来院された場合、許可証の発行ができないことがあります。
受診のタイミングにご注意ください。
■ ワクチンについて
水痘ワクチンは、2014年から定期接種(1歳で2回)として無料で受けられるようになりました。
ワクチンを接種していることで、重症化を防ぎ、症状が軽く済むことが確認されています。
過去に接種していない方や、1回のみの方には、任意接種(自己負担)での接種をおすすめします。
特に大人が感染すると重症化することがあるため、注意が必要です。
■ ご家族に帯状疱疹の方がいる場合
帯状疱疹の患者さんから水ぼうそうに感染することがあります。
感染経路は水疱からの接触感染であり、空気感染はほとんど起こりません。
- 帯状疱疹の患部はガーゼなどで覆い、直接触れないようにしてください。
- タオルや衣類の共有は避けましょう。
- 特に水痘未罹患の子どもや妊婦さんとの接触には注意が必要です。
【参考文献・出典】
・日本小児科学会「VPDを知って、子どもを守ろう」
・厚生労働省「水痘・帯状疱疹に関するQ&A」
・CDC “Breakthrough Varicella”
・学校保健安全法施行規則 第19条