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麻疹(はしか)はなぜ減ったのか? 〜ワクチンが守ってきた子どもたち〜

麻疹(はしか)の流行と、ワクチンで守ってきた子どもたち

はしかってどんな病気?

麻疹(はしか)は、発熱・咳・発疹といった症状に加えて、肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こすこともある感染症です。
空気感染するほど感染力が強く、同じ空間にいるだけでうつってしまうこともあります。

 

昔は、たくさんの子どもがかかっていました

■ 1999〜2002年:麻疹が繰り返し大流行した時代

1999年から2002年にかけて、日本では麻疹の流行が何度も起こり、2000年・2001年には全国的な大流行が発生しました。

  • 1999年:5,875人
  • 2000年:22,552人
  • 2001年:33,812人(最大流行)
  • 2002年:12,473人

 

この頃、日本の麻疹ワクチンは「1歳から7歳6か月未満(90か月未満)」の間に1回だけ接種すればよい制度でした。

 

そのため、実際に受ける時期は家庭によりまちまちで、1歳で早めに打つ子もいれば、5〜6歳でようやく接種する子もいて、未就学児の間に免疫を持たずに集団生活を始めてしまう子どもたちが多く存在しました。

 

また、接種しても1回接種だったため、約5〜10%のお子さんは十分な免疫がつかず、集団内での感染リスクは高いままでした。

 

当時は接種率も今ほど高くなく、「自然にかかって免疫をつければいい」と考える人も少なくありませんでした。その結果、保育園・幼稚園・学校を中心に感染が広がってしまいました。

この大流行は、社会にも大きな影響を与えました。

  • 一部地域では学級閉鎖や休園
  • 小児科の外来や入院がひっ迫
  • 肺炎や脳炎による重症例や後遺症の報告もあり

 

社会全体で「このままではいけない」という危機感が高まりました。

 

少しずつ、流行を止める動きが始まりました

■ 2003〜2004年:社会の意識と接種率が上がり始める

2001年〜2002年の大流行を受けて、国や自治体、医療機関が本格的に対策を講じ始めました。

 

  • ⚫︎ 厚生労働省や小児科学会などによる啓発活動の強化
  • ⚫︎ 自治体から未接種者への個別通知
  • ⚫︎ 保健所や病院での接種推奨、リマインダー制度
  • ⚫︎ 一部大学で入学時にワクチン証明を求める動きも始まる

 

こうした努力により、1歳時点での接種率が大きく上昇し、制度がまだ変わる前の2004年には、発症数が1,547人にまで減少しました。

これは、制度改正前にもかかわらず、「社会全体で接種を進めよう」という意思の高まりが成果を出した例です。

 

決定的な転機:ワクチン制度が進化しました

■ 2006年:MRワクチンの2回接種が定期接種に

  • 麻疹と風疹を同時に予防できるMRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)が導入されました。
  • 1歳と就学前(5〜6歳)の2回接種が定期接種として実施されるようになりました。
  • ② 1回目の接種対象年齢は、それまでの「〜7歳6か月未満」から「1歳〜2歳未満」に短縮され、早期の免疫獲得が制度として確保されました。

この2回目接種により、99%以上のお子さんが確実に免疫を持つようになったとされ、集団内での感染リスクは著しく下がりました。

 

■ 2008年:中高生にも特別な追加接種

  • ③ 1回接種のみで育った中学生・高校生が、大学や職場などで感染源となる事例が報告されたため、
  • ・2008年から2012年の5年間にわたり、中学1年生・高校3年生を対象としたMRワクチンの追加接種(経過措置)が実施されました。

 

この対応により、感染を広げやすい10代後半の若年層にもしっかりと免疫が行き渡るようになりました。

 

今も大切なのは「確実な2回接種」

麻疹は現在、日本では「排除状態」にありますが、海外から持ち込まれることで再流行する可能性もあります。

大切なのは、これからも一人ひとりが接種を忘れず、免疫をしっかりつけていくことです。


▶︎ 5〜6歳(小学校入学前年)で接種するワクチンはこちらで確認ください

 

麻疹は、ワクチンで防げる病気です

かつての大流行を経験した私たちは、ワクチンの大切さを実感しています。
制度と社会の努力により、麻疹はここまで減らすことができました。

これからも、ご家庭での確実な接種が、お子さん自身だけでなく、地域や社会全体の健康を守る力になります。

 

土日も予防接種を受け付けています

エムズこどもクリニック瑞江(江戸川区)では、平日午前午後に加えて土日も予防接種を受け付けています。
予約方法や受付時間は、当院ホームページからご確認いただけます。


▶ 当院ホームページを見る

 

はしかの患者数とワクチン制度の変化について

制度の見直しと接種率の向上により、麻疹の発症数は以下のように劇的に減少しています:

発症数 主な出来事
1999年 5,875人 まだ1回接種のみ
1歳から7歳6か月と広い期間
2000年 22,552人 大流行の始まり
2001年 33,812人 最大規模の流行
2004年 1,547人 啓発と自主的接種の拡大
2006年 516人 1回目を1歳〜2歳に変更
5〜6歳の2期開始
2008年 11,013人 中高生に追加接種開始
2009年 732人 制度の効果が顕在化
2015年 35人 WHOが日本を「麻疹排除国」と認定
2021年 6人 国内流行は見られず