臍ヘルニアと圧迫療法について
臍(さい)ヘルニアの圧迫療法について
赤ちゃんのおへその部分が膨らんでいる状態を「臍ヘルニア」といいます。これは、おなかの筋膜に小さな穴があり、そこから腸が少し出ているために起こるもので、一般的には「でべそ」とも呼ばれます。

▲ 臍突出のイメージ図(腸が押し出されている状態)
自然経過と治癒率
臍ヘルニアの多くは、月齢が進むにつれて自然に治癒します。
- 1歳までに 約80%
- 2歳までに 約90%
2歳を過ぎても膨らみが残っている場合は、手術を検討することがあります。
圧迫療法の目的
自然に治る臍ヘルニアですが、治ったあとに皮膚がたるんでしまい、見た目の問題が残ることがあります。圧迫療法を早期に行うことで、
- 皮膚のたるみを防ぐ
- 治癒の促進
といった効果が期待できます。
圧迫療法の方法
当院では以下の方法で圧迫療法を行っています。
- 臍ヘルニアの部分に綿球をやさしく押し込みます
- その上から、医療用の透明テープで固定します
- 1か月に1回程度、綿球とテープの交換を行います(多くは予防接種の際に実施)

▲ 実際の圧迫療法の様子(綿球とテープでやさしく固定)
終了の目安
泣いたときなどに腹圧がかかっても、おへその膨らみが出てこなくなったら、圧迫療法は終了となります。
注意点
- テープを貼っている部分が赤くなったりかぶれたりした場合は、すぐにテープを優しくはがし受診してください。
- 夜間などにテープが剥がれても、緊急で受診する必要はありません。翌日以降、平日に受診をお願いします。
参考文献
- Cilley RE. Umbilical hernia. In: Ashcraft’s Pediatric Surgery, 6th ed, Elsevier Saunders, 2014. p.584–586.
- Yoshida H, et al. Pediatr Surg Int. 2012;28(6):609-612.
- Sato H, et al. Pediatr Int. 2015;57(6):1085-1089.