熱性けいれんの対応とよくある質問
熱性けいれんとは
◆ 熱性けいれんとは
熱性けいれんは、生後6か月〜6歳ごろのお子さんが、発熱したときに起こすけいれんです。
多くの場合、以下のような特徴があります:
- ▶︎ 38℃以上の発熱とともに
- ▶︎ 体が硬くなる(強直)または手足がびくびく震える(間代)
- ▶︎ 5分以内に自然に止まり、その後意識も回復する
このような場合は「単純型熱性けいれん」と呼ばれ、脳への影響や発達への影響は基本的にありません[注1]。
痙攣(けいれん)がおきた時の対応と注意点
まずは落ち着いて、次のように対応してください。
【けいれん時の大切な対応ポイント】
- けいれんが5分以上続く場合は救急車(119番)を呼んでください。[注2]
- ▪️ 安全な場所に移し、横向きに寝かせる(嘔吐物による窒息を防ぐため)
- ▪️ 口に物を入れたり、無理にゆすったり、心臓マッサージ・人工呼吸をしない
- ※けいれんが止まっても意識が30分以上回復しない場合は救急外来を受診してください。24時間以内に2回以上けいれんを繰り返す場合も精密検査の検討が必要なため小児科を昼間に受診してください[注3]
よくある質問:熱性けいれんについて
Q. 解熱剤は使ってもいいですか?
はい、使って構いません。
解熱剤を使ってもけいれんの予防効果はありませんが、悪化させることもありません[注4]。
熱で頭痛や不機嫌がひどいとき、眠れないときなどには無理せず使いましょう。
Q. 「ダイアップ座薬」は使った方がよいですか?
一時的に使用しても良いですが、今後の方針は医師と相談の上で判断してください。
「ダイアップ座薬(ジアゼパム)」は痙攣を予防する効果がありますが、副作用にも注意が必要です[注5]。
- メリット:再発予防効果が期待される
- デメリット:眠気やふらつきが出やすく、元気さの観察が難しくなることがある
Q. 熱性けいれんのあと、予防接種はどうすればいいですか?
基本的に予防接種は継続できます。
ただし単純型かどうかの確認を医師と行い、1〜2か月あけて再開することもあります[注6]。
受診先に迷ったときは
受診や救急車を呼ぶべきか判断に迷うときは、東京消防庁 救急相談センター(#7119)をご利用ください。
救急車を呼ぶべきか迷ったときに、看護師や救急経験者が24時間対応でアドバイスしてくれます。
- プッシュ回線から:#7119
- ダイヤル回線・一部IP電話から:03-3212-2323
※地域によっては利用できない場合があります。お住まいの自治体の救急相談窓口をご確認ください。
当院についてのご案内
M’s(エムズ)こどもクリニック瑞江は、東京都江戸川区にある年中無休の小児科です。
子どもの熱性痙攣の今後の対応、発熱に関する診察も対応しています。
診察時間やアクセスの詳細は、当院ホームページをご確認ください
現在けいれんしている場合は当院で対応できない可能性があり救急要請検討してください
- 注1: American Academy of Pediatrics. 2008. Pediatrics. 単純型熱性けいれんは長期的な神経発達に影響を与えない。
- 注2: 日本小児神経学会(2022)『熱性けいれん診療ガイドライン』:5分以上持続するけいれんは緊急対応が必要。
- 注3: 日本小児科学会『けいれん時の対応マニュアル』:複雑型(意識障害・再発・片側性)では器質疾患の鑑別が必要。
- 注4: Offringa M, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2017. 解熱薬では熱性けいれんの予防効果は認められない。
- 注5: Natsume J, et al. Brain Dev. 2002. ジアゼパム座薬は再発予防に有効だが副作用に注意。
- 注6: 国立感染症研究所『予防接種と熱性けいれん』:単純型であれば原則延期不要だが、評価のため間隔をあけることも。