【3種混合ワクチン】予約休止中/百日せき予防の大切さを再確認ください
【百日咳のご案内とワクチンの大切さ】
3種混合ワクチンに含まれる百日咳に対する効果は、年長児や成人の百日せき感染を防ぐだけでなく、重症化リスクの高い乳児への感染拡大を防ぐ目的でも重要です。
【注意】現在ワクチン在庫なく予約休止中です
当院では、妊娠中の方への接種についてもご案内しています。
予防接種の意義について、今一度ご確認ください。
百日咳は、長く続く強い咳が特徴の感染症です。熱はあまり出ず、「風邪かな?」と思われがちですが、咳だけが何週間も続くことがあります。
とくに小さなお子さんでは、咳の発作で息が止まる、顔色が青くなる、吐いてしまうなど、重症化することもあります。
この病気は、咳が出はじめた初期にもっとも感染力が強く、治療薬もこの時期にしか効果がありません。
また、百日咳の診断は簡単ではありません。抗原検査はすぐに結果が出ますが正確性に乏しく、より信頼できるPCR検査も結果に数日かかります。しかも、PCR検査の精度が高いのは咳が出始めて1週間以内に限られ、風邪との見分けも難しいのが実情です。
【だからこそ、予防接種が大切です】
百日咳は、早期に診断が難しく、もっとも感染力が強いのもその初期です。
そのため、自分を守るだけでなく、ワクチンをまだうてない赤ちゃんを守るためにも、予防接種がもっとも効果的です。
百日咳 年齢別報告(2022年データ)
百日咳は全年齢でかかる可能性がありますが、特に小中学生の年代(5~14歳)での報告数が多く、また、
乳児期(1歳未満)では重症化のリスクが高いことがわかっています。
年齢区分 | 百日咳報告数 |
---|---|
0〜5か月 | 10人 |
6〜11か月 | 15人 |
1〜4歳 | 35人 |
5〜9歳 | 150人 |
10〜14歳 | 200人 |
15〜19歳 | 50人 |
20歳以上 | 100人 |
出典:国立感染症研究所「百日咳 全数報告サーベイランス(2022年)」
3種混合ワクチン(DPTワクチン)について
現在、3種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)の接種予約を受け付けています。
特に百日咳に対しては、ワクチン接種がもっとも効果的な予防手段です。
◆ ご予約方法
電話予約のみとなります。
ご希望の方は、下記時間内にお電話ください。
- 電話番号:03-6231-8388
- 受付時間:平日・土曜日 10:00〜12:00/14:00〜17:15
接種費用:自費 5,000円(税込)
◆ 接種対象
- 5〜6歳の年長さん以降のお子さまにおすすめです
- すでに4種混合(または5種混合)を接種済みの場合、しばらくは追加接種の必要はありません
(※4回目接種から約4年後が目安です)
◆ 百日咳の流行とワクチンの効果
- 現在、百日咳が流行していますが、2〜3回の接種で発症リスクが大幅に低下します
- 4種混合ワクチンの追加接種まで完了していれば、4〜7年ほど効果が持続します
◆ 特に接種をおすすめしたいケース
- 年長以上のお子さまがいるご家庭で、新生児がいる場合
- 今後ご出産予定がある場合
→ 家庭内での感染予防のため、3種混合ワクチンの追加接種をおすすめします
※ ポリオワクチン(不活化)との同時接種も可能ですが、現在日本では流行がないため積極的な推奨はしていません。
※ 4種混合ワクチンの「追加接種」は制度上できませんのでご注意ください。
【百日咳ワクチン接種をご希望の方へ】
当院では、ジフテリア・百日咳・破傷風を予防する三種混合ワクチン「トリビック®」を使用しております。
日本では現在、小学生以上の年齢で百日咳を予防できるワクチンは本剤のみ承認・流通しています。そのため、当院でもこちらのワクチンを使用し、百日咳に対する追加免疫を行っています。
【なぜこのワクチンを使用するのか】
本来、年齢が高くなると抗原量を少なく調整した成人・思春期向けのワクチン(Tdap:例 アダセル®)が適していますが、日本では未承認のため一般の医療機関では使用できません。
一部のクリニックではアダセル®を独自に輸入して使用している場合もありますが、未承認ワクチンを接種した際に副反応が起きても、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の救済制度の対象外となります。
そのため当院では、承認済で公的救済制度の対象となる「トリビック®」を採用しています。
【副反応について(11歳以上の方)】
このワクチンは、抗原量(特にジフテリア・百日咳毒素)が多く含まれているため、以下のような副反応が報告されています。
- 注射部位の反応(比較的よく見られます):
- 赤み(74.9%)
- 腫れ(72.6%)
- かゆみ(59.2%)
- 痛み(56.1%)
- 熱感(51.6%)
- 硬くなる(45.0%)
- 全身症状:
- 発熱、頭痛(5%以上)
- 倦怠感、わきの下の痛み(1〜5%未満)
これらは一時的な反応ですが、まれに強く出ることもありますので、ご理解のうえで接種をお願いいたします。
◆ 妊娠中におけるトリビック®接種について
百日咳は、生後すぐの赤ちゃんがかかると重症化しやすい感染症です。日本では成人向けのTdapワクチン(アダセル®など)が未承認のため、当院では妊娠中の追加免疫として、厚生労働省により承認されている「トリビック®(DPTワクチン)」を使用しています
トリビック®添付文書にも「妊婦または妊娠の可能性がある女性には、有益性が危険性を上回ると判断される場合に接種する」と記載されており、妊娠中でも接種は可能です。
【接種が推奨される妊娠週数とその理論的背景】
妊娠中のワクチン接種は、時期を適切に選ぶことで赤ちゃんにより多くの抗体を届けることができます。
- 推奨週数:妊娠28週〜32週ごろ
この時期に接種が勧められる理由として、次のような科学的根拠があります。
- 胎盤を通じた抗体移行が妊娠後期(28週以降)に最も活発になる。
- 接種後に抗体価が上昇するまで約2〜4週間を要するため、出産の2〜3週間前までに免疫が完成していることが望ましい。
出典:厚労科研「妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の抗体応答と児への移行抗体に関する研究(分担69)」2023年
【有効性】
- 妊娠28~32週ごろの接種により、母体の抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。
- 厚生労働科学研究(令和5年度)では、接種4週後に抗PT抗体が7.3倍、抗FHA抗体が12倍に上昇。
- 分娩時の臍帯血では98〜100%の新生児で抗体保有が確認され、乳児期の百日咳予防に寄与します。
出典:厚労科研「妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の抗体応答と児への移行抗体に関する研究(分担69)」2023年
【安全性】
- 妊婦470人を対象とした研究では、妊娠合併症・早産・胎児異常・先天奇形などに有意差なし。
- 副反応としては、注射部位の腫れ・痛み(約60%)や軽度の全身症状(約25%)が見られましたが、いずれも一過性で自然に改善しています。
- 海外でのTdapワクチンのデータとも整合しており、安全性に大きな問題は確認されていません。
出典:厚労科研「妊婦へのDPTワクチン接種に関する後ろ向きコホート研究(分担70)」2023年
妊娠中の方で接種をご希望の方は、妊娠週数をスタッフまでお知らせください