ロタウイルス胃腸炎:予防接種で防げる病気について
ロタウイルスとは?
ロタウイルスは乳幼児の急性胃腸炎の主な原因で、5歳までにほとんどの子どもが一度は感染するとされています。
発熱・嘔吐・水様性の下痢が続き、強い脱水で点滴や入院が必要になることが多く、脳炎・腎障害など重い合併症を伴うこともあります。
どれくらい重症になるの?
- ワクチン導入前、日本では毎年 約2万人の乳幼児がロタウイルスで入院していました。
- 入院率:5.8人/1,000人(5歳未満)
- 入院例のうち、重症脱水が約20〜30%、合併症(けいれん、脳炎など)が約1〜2%
ロタウイルスワクチンの効果は?
ロタウイルスワクチンは2011年に任意接種として開始され、2020年から定期接種化されました。
導入以降、日本国内でも大きな効果が確認されています。
- 入院率が60〜80%減少
- 重症例(脱水・けいれん等)も大幅に減少
- 新潟県などでは、3歳未満の重症例が0件という報告もあります
エムズこどもクリニックでは、どのワクチンを使うの?
日本では2種類のロタウイルスワクチンが承認されていますが、当院では「ロタリックス」(2回接種)を採用しています。
- ロタリックス:ヒト由来の1価ワクチン。自然感染に近い免疫が得られ、複数型への交差防御も確認。
- ロタテック:ウシ-ヒト組換型の5価ワクチン。3回接種。
接種は一度始めたら同じ種類で最後まで完了する必要があります。
接種の時期にご注意ください
- 当院では、生後2か月からの接種を基本としています。
- 初回接種は「生後14週6日」までに行うことが推奨されています(腸重積症リスク軽減のため)。
- これは厚生労働省が公式に推奨している期限です。
- 厚労省 ロタウイルスワクチンの案内
- 生後15週~20週0日までは、医師との相談と保護者の同意のもとで接種可能です。
- 20週を過ぎると、初回接種はできません。
ロタウイルスによる重症胃腸炎は、現在ではワクチンで防ぐことができます。
接種できる時期が限られているため、生後2か月を迎えたら、早めのご予約・ご相談をおすすめします。
生後2か月を迎える赤ちゃんの保護者の方へ、
初めてのワクチン接種についての詳しいご案内はこちらをご覧ください。
▶︎ 生後2か月の赤ちゃんへ|初めてのワクチン(4種同時接種)のご案内
※出典:
・国立感染症研究所「ロタウイルス感染症の疫学」
・厚生労働省「ロタウイルスワクチンのご案内」
・日本小児科学会「予防接種実施要領」
・PubMed ID: 40101324