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インフルエンザワクチン:任意予防接種で防げる病気について

インフルエンザ不活化ワクチンについて

インフルエンザは、毎年冬に流行するウイルス感染症です。発熱や咳、倦怠感などの症状を引き起こし、特に乳幼児では重症化のリスクがあります。
その重症化を防ぎ、家庭や地域への感染拡大を抑えるために有効な手段のひとつが不活化インフルエンザワクチンです。

 

生後6か月から接種可能 ― 年齢が上がるほど効果が期待されます

インフルエンザワクチンは生後6か月から接種可能ですが、年齢が高くなるほど免疫応答が安定し、効果が高くなる傾向があります。

特に、1歳以上ではワクチンの有効性が確認されており、当院では年齢が上がるごとに接種を積極的におすすめしています。

 

卵アレルギーがあっても接種できます

卵アレルギーに関しては、ワクチンにごく微量の卵由来成分が含まれていますが、通常の卵アレルギーであれば問題なく接種でき、当院でも問題なく接種を行っています

重度のアレルギー歴がある場合は、医師と相談のうえで判断いたしますのでご安心ください。

 

インフルエンザワクチンの年代別効果と科学的根拠

インフルエンザワクチンの効果は年齢や体調によって異なりますが、以下のような信頼できる研究によってその有効性が示されています。

  • 妊娠中の接種による乳児の保護:
    妊娠中にワクチンを接種した母親から生まれた乳児では、生後6か月未満でのインフルエンザ入院リスクが91.5%低下したことが報告されています。
    (Benowitz I et al., Clin Infect Dis. 2010;51(12):1355–61. PMID: 21058908
  •  

  • 乳児(6か月〜1歳未満):
    日本の厚生労働省研究班による報告では、1歳未満の乳児においてはワクチンの有効性を検出できなかったとされており、
    現時点で明確な入院予防効果のエビデンスは不足しています。
    (厚労科研「インフルエンザワクチンの有効性に関する研究」)
  •  

  • 幼児(1歳〜6歳未満):
    日本小児科学会は、発熱を指標としたワクチンの有効率を20〜30%と評価しています。
    (日本小児科学会 感染症対策委員会)
    また、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」では、1.5〜3歳の子どもにおいてワクチン接種により発症リスクが21〜31%低下したことが示されています。
  •  

  • 学童(6歳〜12歳):
    厚生労働省の調査によれば、2015/16年シーズンにおいて6歳未満を含む小児全体での発症予防効果は約60%とされています。
    また、学童の接種は家族や高齢者の感染予防にも寄与する「集団免疫」の形成にも役立ちます。

年齢や状況によって効果に差はありますが、インフルエンザの重症化や入院を防ぐためには有効なワクチンです。

とくに学童期では予防効果が安定しており、乳幼児においても家族全体の接種によって間接的に守ることが可能です。

 

不活化インフルエンザワクチンの効果:発症予防と重症化予防

インフルエンザワクチンには、「かからないようにする(発症予防)」効果と、「かかっても重くならないようにする(重症化予防)」効果の2つがあります。

 

発症予防効果

ワクチンを接種することで、インフルエンザにかかる確率が下がることが複数の調査から示されています。

特に2024–2025年のシーズンでは、ワクチン株と流行株の一致度が高かったと考えられ、米国の複数の調査グループにおいて、生後6か月〜17歳の小児・青年に対する発症予防効果(外来受診に対する有効性)は32〜60%と報告されました。

主な調査結果:

  • U.S. Flu VE(全米多施設調査):32%
  • NVSN(小児病院ネットワーク):59%
  • VISION(大規模医療機関調査):60%


出典:CDC, MMWR 2025;74(6):139–145.

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/74/wr/mm7406a2.htm

ただし、年によっては流行株とワクチン株が合わない場合があり、すべての発症を防げるわけではありません。

 

重症化予防効果

インフルエンザにかかった場合でも、ワクチンを接種していれば重症化や入院のリスクを大きく減らせることが、多くの研究で示されています。

2024–2025年シーズンでは、入院に対するワクチンの有効性は52〜61%とされ、発症予防と同等の高い効果が確認されました。


出典:同上(CDC, MMWR 2025)

 

また、CDCが2022年に報告した研究では、小児における重症インフルエンザによる入院リスクが75%低下したという結果もあり、重症化予防の効果は非常に安定していることがわかります。


出典:CDC, Flu Vaccine Effectiveness. https://www.cdc.gov/flu/vaccines-work

 

まとめ

2024–2025年のように、発症予防効果が高く示された年もあります。しかし、インフルエンザワクチンは発症を完全に防ぐものではありません

それでも、重症化や入院を防ぐ効果は毎年安定して示されており、接種の意義は十分にあります。

お子さまを守るだけでなく、ご家族や社会全体を守るという視点からも、インフルエンザワクチンの接種を前向きにご検討ください。